岩井俊二制作のミュージックビデオ集



 映画監督岩井俊二は、90年代前半、数多くのPV(プロモーション・ビデオ/ミュージック・ビデオ)制作を手がけている。
 岩井が手がけたPVを見ていると、映像的なセンスや映画的趣向など、後の岩井の映画制作に通じるセンスをかいま見ることができて、なかなか楽しい。ここでは、そんな岩井俊二制作のPVを、YOU TUBEから集めてみた。


東京少年「君の歌に僕をのせて」(1989年6月)



 少女がワープして、あちこちに現れて人々に微笑みを与えていくというストーリーを軸とする映画的なPV。おもろい。 


東京少年「Shy Shy japanese」(1991年11月)



東京少年「陽のあたる坂道で」(1990年3月)



東京少年「Harmony」(1991年4月)



 桜の映像から始まり、幼馴染みの少年少女が子ども時代から高校時代へと成長していく恋愛ストーリーが語られていく。これも映画的なPV。


東京少年「プレゼント」(1990年8月)



 鉄道沿いの道を自転車で漕ぐシーンから始まり、仲間たちとのアパートでの日常生活を描く映像へと移っていく。洗濯物をたくさん吊したアパートの映像がいい。


ZARDGood-bye My Loneliness」(1991年2月)



 坂井泉水さんがきれいに撮れてますね。美人だ。ロケーションは、どこなんだろう? 水があり、フェンスがあり……港かな? でも、海じゃなさそうだし。


ZARD「不思議ね…」(1991年6月)



 とりあえず、自転車で走っているという。粒子が粗い映像ですね。 


ZARD「もう探さない」(1991年10月)/http://jp.youtube.com/watch?v=rQxUZkTTyL4


 これも坂井泉水さんがきれいに撮れている。ビル、部屋(TVの中)、浜辺という三箇所のロケーション。


平松愛理部屋とYシャツと私」(1992年3月)/http://jp.youtube.com/watch?v=HX3RgAlkV3s


 これが岩井俊二だったかーっ! いや、いい曲でありいいPVだと思うんだけど、男にはちと怖い曲なんだよね、この曲。「毒入りスープで一緒に行こう〜♪」の「行こう」は「逝こう」だからね。まじで。
 幸せな家庭の映像となると、ローアングルで固定カメラという小津調になるのはなぜなのか。岩井俊二も一時小津にはまっていた時期があったらしく、おそらく意識していると思われる。


平松愛理「もう笑うしかない」(1992年9月)/http://jp.youtube.com/watch?v=vaCrZOTM3Ww


 冒頭、雨の夜の電話ボックスで女性が電話を掛けているという映画的なシチュエーションから始まるのだけど、オフィスで踊りまくるというミュージカル風の展開になり、最後の方は電話ボックスで歌を歌うシーンもある。まあ、元気でよろしい。


平松愛理「Single is Best!?」(1993年3月)



Mi-Ke「サーフィン・Japan」(1992年6月)



 なんか楽しい。Mi-Keといえば、「想い出の九十九里浜」(1991年2月)なんだけど、この曲って、「セーラームーン」(1992年3月〜)の初代OP「ムーンライト伝説」と空耳なんだよね。聴き比べてみるべし。


サザンオールスターズ「シュラバ★ラ★バンバ」(1992年7月)/http://jp.youtube.com/watch?v=F5xA9WTfjzI


 酒池肉林。
 サザンのプロデューサーを小林武史がやっていた時期があるのだけど、小林は、『リリィ・シュシュ』などで岩井作品の音楽も担当しているわけで、その辺りで繋がりがありますね。


サザンオールスターズエロティカ・セブン」(1993年7月)



 桑田をドラキュラ伯爵にしたのか。まあ、スケベそうではあるw


◆CoCo「YOKOHAMA BOY STYLE」(1992年11月)



 岩井俊二がアイドルを素材にどんな面白いことをやっていたか、とても興味があるのだけど、見つかったのはこれだけ。青い布をはためかせている映像がとてもおもしろいし、遊び心満載。やっぱり面白いことやってるなあ。


松たか子「空の鏡」(2000年4月)



 以下、映画監督として成功してからの仕事。これは、映画『四月物語』と並行してやった仕事で、むしろPVを作る仕事が舞い込んだことが先だったらしい。
 やはりPV時代は未熟だったなと思うわけですけど、でも、未熟な時代の方が断然おもしろいんだよね〜、というのが手間をかけてこのエントリを作った理由。


Lily Chou-chou「グライド」(2000年4月)



 でも、一応、『リリィ・シュシュ』関連のPVも貼っておく。
 まあ、クリエーターとして高みまでのぼりつめた観はある。美しい。


Lily Chou-chou「共鳴(空虚な石)」(2000年6月)



 いや、しかし、今回の作業は楽しかったなあ。90年代前後って、ぼくが十代だった時期ですからね。それこそ青春の時期に聴いていた曲なわけで、懐かしかったですよ。
 特に東京少年は、懐かしかったですね。曲もそういう曲ですからね、東京少年の場合。終わってしまった学校生活を懐かしむっていう。で、曲も古びてないですね。いまでも全然聴ける。
 18のPVを紹介してるんですけど、東京少年「君の歌に僕をのせて」や「Harmony」もかなり好きなんですけど、いちばん好きなのは、CoCo「YOKOHAMA BOY STYLE」ですね。いろいろアイデアが詰まっていて楽しいし、青い布をはためかせているのが全然意味ないんだけど、楽しいっていうw 岩井俊二らしいんじゃないかな、と思います。