ウォーク・オン・ザ・ワイルド・サイド―「歩く」ミュージックビデオ集
なんだか渋谷陽一化しているような気がするのだけど、このエントリでは、ビジュアル系VSアイデア系―PV制作出身映画監督たちのミュージックビデオ集を作る間に拾った、「歩くこと」をテーマにしたミュージックビデオを紹介してみたいと思う。
The Verve「Bittersweet Symphony」(1997)
awesome! リチャード・アシュクロフトが、公道で人にぶつかりながらも、悪びれることなくひたすら歩いていく。「Bittersweet Symphony」は、90年代のロックアンセム。他に思い付くのは、Nirvana「Smells Like Teen Spirit」(1991)くらいで、90年代は、UNDERWORLDの「REZ」(1993)、「Born Slippy」(1995)、Derrick May「Strings of Life」(1989)など、アンセムと言われるような時代を代表する楽曲は、テクノやクラブ・ミュージックの方に多かったように思う。
RIP SLYME「Dandelion」(2004)
こちらも印象的な「歩くこと」をテーマにしたPV。主演は宮崎あおいで、歩くリズムが心地いいですね。彼女は当時19才。小学生にしか見えないぞ……。Avril Lavigne「Don't Tell Me」(2004)では、彼氏にぶち切れながら歩くアヴリルたんが車を止めたりしているのだけど、こちらは当時21才。やはり幼く見えるけれど、さすがに17才くらいには見える。
Kylie Minogue「Come into my world」(2002)
制作はミッシェル・ゴンドリー。カイリ・ミノーグが町を歩いているのだけど、分身が現れたり、同じ場所が出てきたりする。昨日のエントリでも紹介したのだけど、では、解説を。最初に建物からカイリが出てきたとき、彼女はモノを落とす。そして、ぐるっと一周して、1分14秒のところで、元の場所に戻ってくるのだけど、このときまた建物からカイリが出てくる。時間が循環しているわけだ。二周目に建物から出てくるカイリを、カイリBとしよう。すると、カイリBもまたモノを落とすのだけど、それを二周目に入ったカイリAが拾って、カイリBに渡してあげる。三周目にはカイリCが現れ、四周目にはカイリD、そして、五周目に入りカイリEが現れたところでPVは終わるのだけど、周回が増すにつれて、他の人々もどんどん増殖していく。一周目の途中でカイリが街灯の柱に手をかけてぐるっと回るのだけど、二周目でカイリBはカイリAの腕の下をくぐったりであるとか、おもしろいアイデアがあちこちに見られるので、何度も見てるとおもしろいですよ。
Badly Drawn Boy「Disillusion」(2000年)
髭面の男が背広姿の男性に声をかけ、客を背中に背負って走りだす。彼は人力タクシー男なんですね。Tシャツにもしっかり「TAXI」と書いてある。なんだか『魔女の宅急便』を思い出すだけど、見ていると応援したくなり、「がんばれ!」と言いたい気持ちになる。ラストも癒される。お疲れさま。制作は、Garth Jennings。映画『銀河系ヒッチハイク・ガイド』(2005年)を撮っている。
OK Go「Here It Goes Again」(2007)
ウォーキングマシンものという歩くPVとしては捻ったネタ。音楽の枠を越えて有名なPVらしく、Wikiによれば、「2ndアルバム『Oh No』に収録された「Here It Goes Again」のPVで数台のトレッドミル(ウォーキングマシン)を利用しコミカルに踊るメンバーの姿が話題を呼び、2007年度のグラミー賞を受賞。またYouTubeにてYouTubeビデオアウォーズ受賞作品となった。日本ではMTVにプッシュされ、話題を呼ぶ。同じく2ndアルバムに収録されている「A million ways」というメンバーが踊るPVのダンスコンテストをYouTube内で行った」とのこと。YOU TUBEアイドルですね。
PJ Harvey「Good Fortune」(2000)
PJ Harveyは、かっこいいお姉さんという感じ。Hot! 当時31才。Harvey姉さんにだったら蹴られてもいいな。日本のPVだったら最後に入る喫茶店は、絶対にスターバックスなんですけどね。惜しい。
U.N.K.L.E.「Rabbit in your Headlights」(1998)
中年男がぶつぶつ独り言を言いながら車道を歩いており、次々と車に轢かれていくのだけど、すぐに立ち上がり、再び歩きはじめる、というショッキングなPV。オチもすごいのだけど、これはどう解釈すればいいんだろう? なんとなく映画『アンブレイカブル』を連想するのだけど、ヒーローものの系譜なのかな、とは思う。制作はJonathan Glazerで、他の作品に、床が動く、Jamiroquai「Virtual Insanity」(1996)などあり。
片瀬那奈「Babe」(2002)
チュッチュッべイべ、チュッチュッべイべ〜♪ オチは、ダブルユー「あぁ いいな!」(2004)でも「冒険でしょでしょ?」(2006)でもよかったのだけど、それだと当たり前すぎるし、「なんでそんなの知ってるんだよ?」というツッコミを期待しつつ、こちらに。当時はスペースシャワーTVを見れる環境だったのさ。それに、まあ、王道な作りだしね。楽しいし。片瀬那奈は、スタイルいいですね。
エントリのタイトルはルー・リードの代表曲「Walk On the Wild Side」(1972)のタイトルからなのだけど、ワイルドサイドを歩いている感じがするのは、The VerveとU.N.K.L.E.くらいですね。まあ、歩くPVなんて無数にあると思うんですけど、知ってる範囲内でってコトで。
ちなみに、文中で「awesome!」とか「Hot!」とか使ってるのは、YOU TUBEの見すぎのせい。Cooooooool!!!!!