80年代ネタ・イン・『仮面ライダーキバ』



 4月27日放送の『仮面ライダーキバ』で、紅音也が公園で「前略、道の上より」を踊っている一世風靡セピアと一緒に踊っていて笑った。
 一世風靡セピア『前略、道の上より』は、こんな曲。


 一世風靡セピア『前略、道の上より』(1984年)



 うわっ、いま見ても、無駄にかっこいいぞっ! ソイヤッ!


 2008年1月28日から放送が始まっている『仮面ライダーキバ』(公式サイトWiki)は、すでに第14話になっているわけですけど、んー、やっぱり前作の『電王』が新鮮&楽しかったなーっていう気持ちが強くて、いまだにハマっている、という感じではないです。
 2008年の「現在」パートと1986年の「過去」パートが同時進行していくというスタイルはとても斬新だと思うんですけど、そうすると、なにしろふたつのストーリーを同時に進めているわけだから、やはりどうしても登場人物の描写に割く割合が少なくなってしまうので、うまく感情移入できない感じなんですよね。
 脚本の井上敏樹は、「特撮版『男女七人夏物語』」といえる『仮面ライダー555』の脚本を担当した大物のベテラン脚本家で、ほんとうはもっと楽しくかつていねいに、複雑な人間群像を描く人間ドラマを転がしていける人なんですけどね。『555』から継承したものでは、青春群像よりも、人間とモンスターの中間的な存在であるモンスター・オルフェノクの「存在としての悲しさ」(「仮面ライダー」シリーズのそもそもの出発点なわけですけど)の方の比重が大きい感じで、ダークな雰囲気の色の方が濃い。お陰でザンキさんがかっこいいのはいいんだけど、うーん、楽しいって感じにはならないんですよねー。楽しいのは、「天才とバカは紙一重」な天才バイオリニスト紅音也が出てるときくらいで、バカだし一見女好きっぽいんだけど、実は麻生ゆりに一途で、がんばってるところは応援したくなるんですけどねw
(ちなみに、井上ファンは、『キバ』のモンスター「ファンガイア」は『555』のファンガイア、『キバ』の開発途上の仮面ライダーシステムである「仮面ライダーイクサ」は『アギト』の「G3-X」の輪廻転生であることが一目瞭然なので、みんな、やってるなあw、と思ってるでしょうねw)


 で、そんな『キバ』で楽しみにしているのが、冒頭でも挙げたような、1986年パートでやたらと描かれる80年代ネタなのだけど、70年代生まれ的には、「ちょっと上のお兄さんやお姉さんたちの世代の文化」で憧れの対象だったので、とても懐かしいし、楽しいんですよね。
 公式サイトには、作中で両パートで登場人物たちの溜まり場になっている「カフェ・マル・ダムール」でかかっている曲のリストがあるのだけど、14話の時点ではこんな感じらしい。



 新田恵利「冬のオペラグラス」(1話)
 うしろ指さされ組「バナナの涙」(2話)
 小林旭熱き心に」(3話)
 小林明子「恋に落ちて」」(3話)
 中森明菜「DESIRE-情熱-」(4話)
 菊池桃子「Broken Sunset」(5話)
 おニャン子クラブ「じゃあね」(6話)
 吉沢秋絵「季節はずれの恋」」(7話)
 チェッカーズ「OH!!POPOSTAR」(8話)
 渡辺美里「My Revolusion」(9話)
 おニャン子クラブセーラー服を脱がさないで」(9話)
 河合その子「青いスタシィオン」(10話)
 一世風靡セピア「前略、道の上より」(14話)
 C-C-BRomanticが止まらない」(14話)



 新田恵利「冬のオペラグラス」



 菊池桃子「BROKEN SUNSET」



 渡辺美里My Revolution



 河合その子「青いスタスィオン」



 国生さゆりの「バレンタイン・キッス」(1986年1月発売)が流れていたような気がするんですけど、流れてないんですねw 1〜2話の時点で、80年代ネタは、おニャン子クラブだけで押すのかなあ、と思ってたんですけど、おニャン子以外も流れてますね。けれど、おニャン子中心なのは確かなので、ちょっとお浚いすると、おニャン子クラブは、「フジテレビの番組『夕やけニャンニャン』から生まれた女性グループで、デビューした1985年から解散までの1987年の2年半、男子中高生を相手に人気を博した」とのコト。意外と短命だったんですね。『夕やけニャンニャン』は、フジ系列で月曜日から金曜日17時〜18時の帯番組として、1985年4月1日〜1987年8月31日に放送されたらしい。「ネットしていた局」の項目を見ると、ぼくの地元の局(秋田なんですけど)が見当たらなくて、やはりぼくは『夕ニャン』は一回も見てないよう。


 1986年の風俗については、仮面ライダーキバまとめ@ Wiki で手際よくまとめられてるんですけど、1986年@Wikipediaを参照しつつ、目に付くものを、ここでも挙げていくと、出来事では、1月、スペースシャトルチャレンジャー号爆発事故、4月、男女雇用機会均等法施行、岡田有希子自殺、チェルノブイリ原発事故、5月、イギリスチャールズ皇太子とダイアナ妃来日、「ドラゴンクエスト」発売、6月、FIFAワールドカップメキシコ大会でアルゼンチンが優勝(マラドーナが「5人抜き」や「神の手」で伝説を作る)、7月、第38回衆議院議員総選挙・第14回参議院議員通常選挙衆参同時選挙で自民党圧勝、第3次中曽根内閣発足、11月、三原山大噴火、12月、ビートたけしたけし軍団によるフライデー襲撃事件流行語大賞は、新語部門金賞「究極」(雁屋哲美味しんぼ』)、銀賞「激辛」(鈴木昭料理店主)、銅賞「ファミコン」(任天堂)、流行語部門金賞「新人類」(西武ライオンズ投手)、銀賞「知的水準」(ロイター通信)、銅賞:「亭主元気で留守がいい」(テレビCM)、大衆賞「おニャン子」(フジテレビ)、「プッツン」(片岡鶴太郎)、不快語追放応援賞「地揚げ・底地買い」(女優馬渕晴子)、ドラマでは、『男女7人夏物語』、『あぶない刑事』、放送開始されたアニメに、『ドラゴン・ボール』、『めぞん一刻』、『聖闘士星矢』……なんか、だんだん思い出してきましたね。
 そして、やはりこの時代を描くのであれば、「バブル時代」の文化・風俗がおもしろいところで、作中でもそういう描写があるんですけど(9話では、オークションで曰く付きのバイオリン20億円といういくらなんでもな値段で落札されるというネタあり)、バブル景気@Wikiでは、「日本の経済史上で1980年代後半〜1990年代初頭にかけてみられた好景気である。指標の取りかたにもよるが、概ね、1986年12月から1991年2月までの4年3か月(51ヶ月)間を指すのが通説となっている」とあり、【仮面ライダーキバ】1986年の描写どうよ??@2chでは、1986年にはバブルの雰囲気はなかったし、扇で踊るシーンがあったけれど、これはジュリアナ東京(1991年5月〜1994年8月)登場以降のコトといった指摘があるようです。
 んー、まあ、ぼくは作品においては、「だいたいでいいんじゃない?」と思うし、若いファンは「バブル時代はこんな時代だったんだ」という印象を持ってくれれば現段階ではそれでいいし、「1986年と1989年の違い」といった細かい知識まで知りたい人は、いまはこうしてネットでフォローできますからね。(あと、YOU TUBEに2007年に放送された「カノッサの屈辱」バブルへGO!!スペシャルがあがっているので、一つめにリンクを貼っておきます)


 さて、もうひとつ気になるのがファッションなんですけど、1986年パートのヒロイン麻生ゆり役である高橋愛が、彼女だけバブル時代の服装や髪型、メイクをしているのが、とても目を引くんですよね。髪をアップにして、トレンディードラマ時代の浅野ゆう子みたいになってる。他のイケメンの男性たちの髪型は今風だし、別に今風の髪型&メイクでいいと思うんですけどね。
『仮面ライダーキバ』 91年生まれが80年代ボディコンに身を包むと!?@日経トレンディーネットでは、「いわゆるバブル時代ですね。その時代に仮面ライダーキバに味方をするファンガイアハンターをやってる麻生ゆり(高橋優)ってのが、ボディコンっぽい服を着て髪型とかメイクとか80年代風なんだよね。でも、なにせ演じてる子が91年生まれで、ギャル雑誌『Cawaii!』の元専属モデルですからねぇ。むしろ一番驚くのは86年ってついこないだじゃんかって思ってしまう自分」と言及されてますね)


 資生堂(出演浅野ゆう子



 で、バブル時代の浅野ゆう子の髪型を確認したくなったので、YOU TUBEで探してみたんですけど、とりあえずあったのはこれくらいで、しかも何年かわからない。まあ、前髪をくるくるっとカールで巻いてるのは確認できるから、これでよしとします。
 浅野ゆう子がトレンディードラマの女王と言われたのは、『君の瞳をタイホする!』(1988年)、『抱きしめたい!』(1988年〜1990年)、『ハートに火をつけて!』(1989年)、『世界で一番君が好き!』(1990年)あたりでしょうか(すべてフジ系)。
 もうひとりの女王である浅野温子の全盛期は、『あぶない刑事』(1986年)、『抱きしめたい!』(1988年)、『世界で一番君が好き!』(1990年)、『101回目のプロポーズ』(1991年)あたり?
 あとはなんといっても、『東京ラブストーリー』(1991年)の鈴木保奈美なわけですけど、これは動画があったので、貼っておきます。


 小田和正ラブストーリーは突然に」(『東京ラブストーリー』OP)



 愛してるよ、カンチッ!
 は、恥ずかしいなあ……。映画『バブルへGO!』(公式サイト)であるとか、この辺の恥ずかしさもだいぶ自虐的にであれ振り返られるようになってきてると思うんですけどね。


 石井明美CHA-CHA-CHA」(『男女7人夏物語』OP)&森川由加里「SHOW ME」(『男女7人秋物語』OP)



 もうひとつ、こちらはトレンディードラマの走りとなった『男女7人夏物語』(1986年)と、続編・『男女7人秋物語』(1987年)のOP。石井明美「CHA-CHA-CHA」森川由加里「SHOW ME」のTVライブ動画はこちら。『555』の『男女7人』リスぺクターぶりからして、『キバ』の年代設定が1986年なのは、『男女7人』の年だからかもしれないな、と思うんですけど、どうなんでしょうね?


 「JR東海 X'mas Express」歴代CM(1988年〜1992年)



 実際バブル時代がどんなファッションだったか、となると、CMが当時の風俗を映し出してるかなあ、と思うんですけど、「JR東海 X'mas Express」のCMを見てると、ファッションには時代を感じるけど、髪型とかについては、なんか意外と時代を感じないですねw (牧瀬里穂はかわいすぎるw)


 今井美樹「雨にキッスの花束を」(『YAWARA !』2nd OP)



 もうひとつ、浦沢直樹YAWARA!』(漫画1986年〜1993年、アニメ1989年〜1992年)がオシャレだったなあ、と思い出したので、アニメ版のOPを貼っておきます。
 ……って、ええっ? シリーズ構成井上敏樹じゃん。なんか、ちゃんとオチが付きましたねw


 うわっ、こんなに長く書くつもりじゃなかったのに、つい懐かしくなってしまって、長くなっちゃったよ。「上の世代の昔話ってうっとーしーよなー」ってデフォルトで思うものだっていうのは、よくわかってるんですけどね。ほんと、ごめんっ!


 Tourbillon「Break the Chain」(『仮面ライダーキバ』OP)