『電脳コイル』ってどんなアニメなのか?



電脳コイル 第2巻 通常版 [DVD]

電脳コイル 第2巻 通常版 [DVD]



 昨日放送の第4話「大黒市黒客クラブ」は、序盤でも『電脳コイル』の魅力が伝わりやすい、いちばんキャッチーなおもしろさをもつ回でしたね。
 主人公ヤサコ(小此木優子)のクラスに転校してきた謎の少女イサコ(天沢勇子)。イサコは、クラスメイトに対して協調性皆無の態度で接したせいで、ガキ大将ダイチ率いる悪ガキグループ「大黒黒客クラブ」に嫌がらせを受け、ヤサコの友人フミエ(メガばあ率いる「コイル電脳探偵局」のメンバー)のことも怒らせてしまう。で、放課後に三つ巴のサイバーバトルが開始! ダイチらは電脳アイテム(電脳バルカン「直進くん」や電脳ミサイル「追跡くん」)で、フミエは電脳オフダ(メタタグ)で攻撃を仕掛けるが、イサコは反撃し、ダイチらを電脳ミサイルで返り討ちにし、フミエのハッキングも防ぎきる。
 「おもしろい!」と感じるのは、現実の空間に電脳アイテムが現れて、ミサイルを撃ち込んだり、防御壁が現れて防いだりするから。子どものケンカなのに、絵面だけ見てると、完全に最新のテクノロジー兵器を駆使した、現代的な戦争状態w 現実の空間と電脳の空間が入り混じっていて、一話だけ目を通しただけでとても魅力的な世界観が繰り広げられているな、と感じるのだけど、しかしいったいこれはどういうことなのか? 設定を確認してみよう。
 時代設定は、現代より少し時代が進んだ近未来。子どもたちの間ではメガマス社が開発した「電脳メガネ」と呼ばれる製品が普及している。電脳メガネを掛けると、町のどこからでも電脳空間(=ネット)に接続して情報を得ることができ、電脳空間に存在する電脳アイテムや電脳物質を見ることができる。現代の携帯電話のように普及し、ほぼすべての子どもがもっている。
 子どもたちは、現実の生活を送る中で電脳メガネをかけることで電脳世界にアクセスして、さまざまな情報を入手したり、たとえば電脳メガネを掛けると見える電脳ペット(ヤサコが飼う「でんすけ」)を飼ったりして、現実の生活を便利で快適、かつ楽しく豊かなものにしている。(小説版では、電脳メガネは、6才から13才までの子どもだけが使用する子ども用おもちゃなのだけど、アニメ版では、そのことは意識されていないようだ)
 さて、気になるのは、現実の空間と電脳の空間の関係なのだけど、



8 :アニメにフィギュアに同人誌に@フィギュア板 :2007/09/30(日) 15:00:48 ID:R+aLF0Jz


Q:電脳と現実の関係がよくわからん
A:現実空間の上に現実と同じ映像データを重ねたうえで、そこにペットなども表示させて
 メガネ型のディスプレイをかけるとそれが見えます。


Q:電脳ペットとかに触ったとき感触はあるの?
A:ありません


Q:感触無いんじゃペット抱くとかできないんじゃね?
A:触る人の動きから計算して反応した映像を返すので、抱く動きをすれば抱き上げられます。
 重さも感じないのに飼い主がちゃんと抱けるのは「慣れ」


Q:サッチーやキューちゃんに撃たれるとどうなんの?
A:現実の肉体には影響ありませんが、メガネ内のデータ(その人の体の映像データ等)を壊され、全部壊れると修復以外の操作が不可に。データ修復代はお年玉換算で2年分(約5万円?)


Q:攻撃された時/電波状態が悪い所で、体にノイズが出るのは何で?
A:自分の体に重ねられてる映像データが壊される/データ送受信が上手く行かず文字化けするから


Q:攻撃されてもメガネ外せば/電源offすれば/電脳接続解除すればいいだろ
A:外しても攻撃が見えなくなるだけでデータは破壊されます。off/接続解除は不明。
 不使用時はわざわざ待機モードにする、緊急時に電源を切ろうとしないという描写があるくらい。(第10話参照)


Q:なんでサッチーとキューちゃんは追ってくるの?
A:もともとウィルス駆除ソフトですが、ペットのバグやおちゃめな違法アイテムまで消去しようと追ってきます。


 電脳コイル89@2ch 



 ……といった感じのよう。
 これでもまだ腑に落ちないところがあるのだけど、日常的に電脳空間に接続している子どもたちにとっては、電脳空間上に構築された自分の身体データはとても大事なものであって、電脳空間上のデータが電脳ビームや電脳ミサイルの攻撃で破壊されるのは、絶対に避けたいことなのだろう。
 『電脳コイル』のサイバーバトルの攻防を見ていると、「攻撃されたらメガネを外せばいいんじゃないか?」と思うのだけど、攻防中にメガネを外せば電脳空間上のデータは一方的に破壊されてしまうことになる。だから、子どもたちはできるだけメガネを外ずさないで、問題解決の対処をしようとするのだろう。もちろん電脳空間上のデータ(破壊されたらお年玉数年分が吹っ飛ぶ)より現実の命の方が大事なわけだから、電脳空間に接続した状態で攻撃を受けたら脳死してしまいかねないとか、そういう危険がある場合には速やかに接続を切るはずだし、そうしないということは、現実の身体にはダメージはないということなのだろう。
 電脳ビームを食らうと電脳メガネをかけた子どもの身体がブレる、という表現がとても魅力的でおもしろいと感じるのだけど、これは電脳メガネをかけた状態の子どもには、自分自身の身体は現実の身体ではなく、電脳空間上にある身体データの画像として把握されている、ということなのだろう。『電脳コイル』は、アニメの歴史の中では、この子どもたちの身体イメージがいちばんおもしろいし、現代的な作品として意味があるポイントなのではないかと思う。
 あらゆるものを「ウンチ!」と指さしながら走り回るヤサコの妹京子を見ていると、「『となりのトトロ』 in 電脳都市」という感じがして、宮崎アニメと比較してみるのもおもしろそうなんですよね。(監督磯光雄は、ジブリ作品では、『おもひでぽろぽろ』『紅の豚』に原画で参加)
 舞台となる町・大黒市が、神社が数多く存在する古い町である一方で、電脳化のインフラ整備が進んでいる電脳都市でもある、という設定もおもしろい。
 今回の再放送は、なるべく見逃さずに追っていくつもりです。


 以下、参考サイト&動画。


 電脳コイル公式HP 


 ハテナ電脳コイル


 電脳コイル@Wikipedia 


 『電脳コイル』プレビュー



 【MAD】電脳コイル×攻殻機動隊「rise」