大阪府立国際児童文学館存続のための署名運動



 『のらくろ二等兵』「教練の巻/演習の巻」(1933)



 いま、大阪府立国際児童文学館http://www.iiclo.or.jp/)が存続の危機にあります。
 新たに大阪府知事に就任した橋下徹府知事は、府立の83施設について「図書館以外不要」として81施設の見直しを宣言し、3月20日大阪府立国際児童文学館の視察を行った際、中央図書館、または中之島図書館への併合を示唆する発言を行ったというコトです。そして、府知事の方針を受けて、児童文学館はすでに5月以降の予算は白紙という状態で、かなり緊急を要する事態に陥っているとのコト。
 詳しくは、以下のサイトを参照してください。


 大阪府立国際児童文学館存続運動に賛同します。@宮本大人のミヤモトメモ


 大阪国際児童文学館存続のためのお願い。@児童文学書評 


 大阪府立国際児童文学館存続を求めるお願い@中川裕美のホームページ 


 で、以前の存続の危機の際に結成された「大阪国際児童文学館を育てる会」で、知事へのメールや、児童文学館の存続のための署名活動を行っているというコトなので、ぜひご協力ください。
 署名は、中川さんのサイトから署名用紙のWORD版とPDF版がダウンロードできますので、署名した上で用紙に書かれた「育てる会」の住所までお送りください。期日は4月10日というコトです。ほんとに切迫してるんですね。
 というか、ぼくもできる限り署名を集めて、「育てる会」に送ろうと思っているのですが、ぼくとリアルで知り合いの院生や学生の方は、決してあやしい右やら左やら宗教やらの勧誘ではないので、ご協力くださいませw


 ……なんというか、うーん、このblogだけ見てると、なんか動画とアニメばかり見てるんじゃないかと思われてるような気がするんですけど(否定はしませんがw)、これでも一応大学院で文学研究に携わっているコトになっていてですね。世間では文学研究や文化研究なんて役立たずだと思われてると思うし、実際否定できないところもあるんですけど、それでもなおかつ、「文化を守る」ということは世間で思われてるよりずっと大切なコトなんだっていう思いももってるんですよね。それがないと、こんなところにはいないですよ。(付記:あれ、この文章、問題ありますね。動画とアニメばかり見ているようなやつだからこそ、今回は動かなきゃいけないんですよね。もちろん、ここでは、「こういう署名運動などには関わらないようなタイプだと思われてるかもしれないけれど」というニュアンスで書いてます。ご了承ください。/3.4.08)
 そして、こういうとき動かないと、文系の大学院生なんて、ほんとに役立たずじゃないですか。こういうとき動かなかったら、このblogでも話題に挙げてるような、文学・映画・漫画・アニメ等について、もう何も言う資格がないと思うんですよね。言ってるコトとやってるコトが違うわけですから。


 国際児童文学館がどういう場所かというコトについては、上記中川さんのサイトに転載されている漫画史研究会MLの記事がわかりやすいと思うので、このblogでも孫引きしておきます。



<漫画史研究会MLより抜粋>


 大阪府立国際児童文学館は、開館以来、近代から現在に至るまでの日本で出版されたおびただしい児童書・児童雑誌のみならず、通常の書籍販売ルートを通さないいわゆる「赤本」や、戦中・戦後の街頭紙芝居など、一般的な「児童書」のカテゴリーにおさまらないばかりか、しばしば「俗悪」「有害」とみなされてきたメディアを多数収集・所蔵してきたアーカイヴです。
 当館のコレクションの中には、たとえば阪東妻三郎市川百々之助などのサイレント時代劇のスターをキャラクター化した赤本漫画や、大正期の児童向け映画雑誌など、日本映画史研究という観点からも、きわめて貴重な資料が多数所蔵されています。
 今回橋下知事の表明した方針は、そうしたユニークなアーカイヴ活動の継続を困難にし、場合によっては貴重なコレクションを死蔵・散逸に至らしめる危機をもたらしかねないものです。



 赤本、紙芝居、児童向け映画雑誌。ほんと、すばらしいところですよね。(もちろん、こういったものだけではなく、広く児童文化の資料を収集しています)
 あと、名古屋大学少女小説の研究をしている中川さんのサイトの文章が、短く明快な問題提起文になってると思うので、このblogでも転載しておきます。



大阪府立国際児童文学館存続を求めるお願い


 橋下徹大阪府知事の「改革」により、大阪府立国際児童文学館(以下文学館)が府立図書館と合併されようとしています。
 文学館は以前より、大阪府行財政改革によって存続が危ぶまれてきました。
 しかし今回は太田房江元府知事時代よりも遥かに切迫した状況となっており、すでに文学館の予算は5月以降は白紙であると聞き及んでおります。(日本児童文学会3月中部例会における委員の発言)


 文学館は、国会図書館でさえ所蔵していない雑誌や書籍を多数有しており、それらのほとんどを実際に手に取ることが出来るだけではなくコピーも出来るなど、児童文化・児童文学を研究する者にとって欠くことの出来ない施設です。私自身、実際にこの文学館がなければこれまでの研究は不可能であったと思います。


 大阪府立国際児童文学館は、図書館、博物館、研究・教育機関という3つの顔をもち、児童文学・児童文化に関する調査・研究・資料保存を総合的に行なうわが国唯一の機関であり、国際的にも高い評価を得ているのですが、新聞記事などに見られる橋下知事の発言からは、このことへの認識が根本的に欠けているように感じられます。


 現在、我が国の児童文化は世界から高い評価を受け始めています。
 世界の注目が集まった時、「文学はわからない」などと公言する知事の政策によって、貴重な資料が失われていたとしたならば、我が国・国民の文化への理解、関心の低さを世界に向けて宣伝することにもなるのです。それで「世界から信頼され、尊敬される日本」を目指すことになるのでしょうか。


 私も含めて個々の声はあまりにも小さいです。
 しかし、このページを読んで少しでも興味を持って下さった方、意見に賛同して下さった方がいらしたら、


・署名運動へご協力→署名用紙[word版][PDF版]
大阪府庁にはがき・ファックスを送信して請願をおこなう
大阪府知事室の「知事への提言」宛に大阪府立国際児童文学館の存続を願うメールを送る


 などの手段でご協力お願い申し上げます。
 またこのページへリンクしていただくだけでも構いません。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。


 2008.04.02 中川裕美(名古屋大学大学院)
 URL : http://azure.x0.com




 大阪府立国際児童文学館存続を求めるお願い@中川裕美のホームページ 



 では、宜しくお願い致します。m(_ _)m




 『のらくろ伍長』(1934)

 戦前の子ども文化というコトで、『のらくろ』を貼っておきます。『のらくろ』、二等兵から伍長に出世してますね。二等兵から伍長まで昇進するには、一等兵上等兵兵長と階級を上がっていかなければならないから、かなり出世している。(軍隊の階級@Wikipedia
 で、軍隊といえば『ケロロ軍曹』なわけだけど、公式サイトで階級を見てみるとクルル曹長ケロロ軍曹ギロロ伍長ドロロ兵長タママ二等兵、という順になるんですな。……というように、文化の継承って大切なわけですよ。


 『くもとちゅうりっぷ』(1943、16分)

 戦前の日本アニメの代表作『くもとちゅうりっぷ』。詳細はこちら
 もうひとつの代表作『桃太郎 海の神兵』(1945年、74分)もYOU TUBEで見られるようです。