読書会メモ:視線



視線 (研究社・リアクション叢書)

視線 (研究社・リアクション叢書)



 大学の授業で読書会形式の演習が行われていて、11月中旬にこの本を担当することになっています。内容は、「男性の凝視による女性のモノ化」というフェミニズム批評の主張に対して真っ向から異を唱え、印象派の絵画を取り上げつつ、画家たちがいかに女性たちを主体性を有する存在として描いてきたか、膨大な反証を挙げていくというものなのですが、そりゃ男性画家は女性をすばらしい存在として描いてきただろうけど、女性からすればいかにそれらが現実の女性から乖離しており、また現実の女性に対して抑圧的に機能するものだったかという話でしょう?といった感じで、ジェンダーという概念すら理解してなさそうなんですよね。
 女性の視線に注目しつつ、「この女性は男のプロポーズに対して気が乗らない気分でいるに違いない」といった物語を読み込んでいく手際が、ときとしてあまりに想像力豊かかつ頓珍漢なので頭痛を感じつつ、おもしろいところなんですけどね。「出会う」「娯しむ」「働く」「脱ぐ」「ひさぐ」「救う」「嫁ぐ」といったテーマ別に章立てされているし、視線/視覚論について一通り言及しているので、発表ではいくらでも自分のフィールドに敷衍できるし、どうにでも料理できると思うのですが、さてどうしましょうか。


 とりあえず、以下のような本を読みながら勉強中です。楽しいです。


・視線論の古典
パサージュ論 (岩波現代文庫)

パサージュ論 (岩波現代文庫)



“象徴(シンボル)形式”としての遠近法 (ちくま学芸文庫)

“象徴(シンボル)形式”としての遠近法 (ちくま学芸文庫)



メルロ=ポンティ・コレクション (ちくま学芸文庫)

メルロ=ポンティ・コレクション (ちくま学芸文庫)



監獄の誕生 ― 監視と処罰

監獄の誕生 ― 監視と処罰



神話作用

神話作用

 イデオロギーが作用する場としての視覚文化を利用する支配的イデオロギーを批判。イデオロギーは心地よい「呼びかけ」として働く。(参照:ジャクリン・ローズ「セクシュアリティと視覚」、『視覚論』所収)。


・現代の視線論
視覚論 (平凡社ライブラリー)

視覚論 (平凡社ライブラリー)



スペクタクルの社会 (ちくま学芸文庫)

スペクタクルの社会 (ちくま学芸文庫)



見ることの狂気―バロック美学と眼差しのアルケオロジー

見ることの狂気―バロック美学と眼差しのアルケオロジー



反美学―ポストモダンの諸相

反美学―ポストモダンの諸相



観察者の系譜―視覚空間の変容とモダニティ (以文叢書)

観察者の系譜―視覚空間の変容とモダニティ (以文叢書)



知覚の宙吊り―注意、スペクタクル、近代文化

知覚の宙吊り―注意、スペクタクル、近代文化



フェミニズム的な視線論
「新」映画理論集成〈1〉歴史・人種・ジェンダー (歴史/人種/ジェンダー)

「新」映画理論集成〈1〉歴史・人種・ジェンダー (歴史/人種/ジェンダー)

 フェミニズム的視線論の火付け役となった、ローラ・マルヴィー「視覚的快楽と物語映画」(1975)を収録。


視線と差異―フェミニズムで読む美術史 (ウイメンズブックス)

視線と差異―フェミニズムで読む美術史 (ウイメンズブックス)



イメージ Ways of Seeing―視覚とメディア (パルコ・ピクチャーバックス)

イメージ Ways of Seeing―視覚とメディア (パルコ・ピクチャーバックス)



視覚文化におけるジェンダーと人種―他者の眼から問う

視覚文化におけるジェンダーと人種―他者の眼から問う



交差する視線―美術とジェンダー〈2〉

交差する視線―美術とジェンダー〈2〉



・日本の視線論
博覧会の政治学―まなざしの近代 (中公新書)

博覧会の政治学―まなざしの近代 (中公新書)



眼の隠喩―視線の現象学 (ちくま学芸文庫)

眼の隠喩―視線の現象学 (ちくま学芸文庫)



視覚と近代―観察空間の形成と変容

視覚と近代―観察空間の形成と変容



幻灯の世紀―映画前夜の視覚文化史

幻灯の世紀―映画前夜の視覚文化史





感覚のモダン―朔太郎・潤一郎・賢治・乱歩

感覚のモダン―朔太郎・潤一郎・賢治・乱歩