台湾3/日本文化



 台湾の町を歩いていて印象に残ったこととして、日本の企業がどんどん入ってきていたり、日本文化が普及していたりといったことがありました。








 セブンイレブンファミリーマート。デパートでは、三越やそごうもシェアが大きいらしいです。もちろん、日本の企業だけではなくて、ケンタッキーのようなアメリカの企業も目立つし、海外の企業が進出することによって、町が多様な文化の混交によって渾然一体となりつつ、しかしその国独自の雰囲気を醸成している点では、日本と変わらないのだろうと思います。
 もう一つ、中国の企業の進出は、日米の企業の比ではないはずなのですが、それは日本人観光客の目には見えないところですね。





 台北の市街地のビルに掲示されているゲームの巨大な広告。これは今調べてみたところ、「風林火山」というゲームの広告で、韓国のゲームらしいですね。日本のアニメの影響を強く受けており、キャラクターデザインも日本人のようです。
 台湾の書店で漫画の棚を見ると、ほんとうに日本の漫画の翻訳ものばかりが並んでいて驚きました。台湾の漫画家は何人かの少女マンガ家がいるだけらしいんです。今回のシンポジウムで台湾の学生の方たちは、日本のサブカルチャーについて研究発表されていて、懇親会などで話していても、みんな驚くほど日本のサブカルチャー、アニメや漫画、ゲーム、ライトノベルなどに詳しいんですけど、これだけリアルタイムで、日本とほぼ同じ質量の日本文化が入ってきているのであれば納得できます。





 ぼくは『よつばと』の翻訳ものを買ってきたのですが、タイトルは「四葉妹妹」になってますね。タイトルには、意訳系と音訳系があって楽しかったです。





 台湾でも「萌え」は流行っているらしい(笑) メイド喫茶のものっぽい看板もあったんですけど、やっぱり台湾にもあるんですかね。





 シンポジウムでの発表でもあったのですが、「日式」と書かれている看板も目に付きました。日本人観光客向けというわけではなくて、台湾人の間で日本ブームがあって、「哈日族」(ハーリーズー)の台湾人向けのお店のようです。





 河村隆一の台湾公演の広告の旗が、なぜか大量に道沿いに並んでいました。会場が國立台北市國父紀念館でやるというんですけど、国父孫文をたたえるために作られた建物で、すごい場所なんですよね。いいのだろうか。
 台湾の学生の方たちとカラオケに行ったのですが、みんなすごくJ-POPに詳しかったですね。「J-POP」という呼称は、「日本の音楽がいちばんすごいんだ」という知識・教養の欠落と表裏一体のナルシズムやナショナリズムを感じて嫌だったんですけど、こんな風に海外で支持を得て、商品として流通している様子を見ると、また別の文脈で響くというか、「J-POP」という呼称がふさわしく感じられてきます。


 オタク文化の流行も、ようは「J-アニメ」「J-コミック」なわけで、「J-カルチャー」のやすやすと国境を越えてしまうかに見える「普遍性」と、「J」というナショナリティー(固有の地域性から生み出された限定性)については、慎重に考えていかなければならないでしょうね。