パニック



 The Smiths「Panic」(1986)



 インフルエンザをめぐる騒動を見てると、なにやら「いつかどこかで見たような……」的な既視感を感じるのだけど、いまの状況って、パニック映画やパニック小説そのものですね。最近だったら、シャマランの映画『ハプニング』とか。
 メディアが騒いでいるのはいつものことだからいいとして、道行く人たちがマスクを付けていたり、感染者が出たら即学校が休校になるらしいという話が飛び交っていたり、TVの中の「コップの中の嵐」がここまで日常生活に侵入してくるケースも珍しいですよね。なんだか筒井康隆的な状況を呈しているような気もして、ぼくが危機感が薄いだけかもしれないですけど、オーバーで滑稽な気がしています。ウェルズの火星人襲来デマ(1938年)みたいに、騒ぎの中心がまったくの空虚というわけではないでしょうが。現象としてはおもしろくて、のちのち社会学やメディア論でいろいろなことが言われるのはほぼ間違いないところなので、どんなことが起こっているのか、どんなことが起こるのか、しっかり情報収集して事態の推移を見ておくべきでしょうね。


 とか言ってたら、自分がインフルエンザにかかって、ぽっくり逝ったりして……。それはそれでいいんですけどね……。
 俄に訪れた「ハレ」の時間をお祭り気分で楽しんでる人もいるみたいで、それはそれでありかなと思うんですけど、まあ、できる範囲で感染リスクに配慮しつつ、あまりメディアに踊らされることなく、冷静に状況の推移を見守りましょう、という感じですね。