多和田葉子動画



エクソフォニー-母語の外へ出る旅-

エクソフォニー-母語の外へ出る旅-



 3月に、現代文学の読書会があったのだけど、このとき読んだ多和田葉子がとてもおもしろくて、読書会が終わった後も継続して読み直しをしている。彼女の小説は、言葉そのものへのこだわりから、めちゃくちゃ「変」な小説世界が開かれていくのだけど、言葉に対するこだわりは、彼女がドイツに在住しており、もともとドイツで作家デビューを果たしていることが大きく作用しているようだ。
 で、以下の動画は、多和田葉子がドイツで朗読会を行っている様子を撮影した貴重な動画であり、おそらくドイツのTVの特集だと思う。ドイツでは作家の主要な収入源は、国の手厚い支援もあるらしいけれど、朗読会での朗読で得る収入なのだそうで、かなり客が集まるらしい。日本でももっとやればいいのにねえ。無名作家や若手作家の朗読会でも、近くでやっていればぼくは全然行きたいけれど。


 Schöngeister in der Akademie - Das poesiefestival berlin



 40秒のあたりから、多和田が詩を朗読している映像が見られるが、ここで多和田は、ドイツ語と日本語の両方を用いており、短い動画ではあるのだけど、それぞれの言語のことばの響きを、自分自身でも楽しんでいるし、また観客におもしろがってもらおうとしていることがよくわかる。
 もちろん、同じことは小説でもくりかえし試みられているわけだけど、彼女の作品を一つ取り上げて、ことばの響きを丹念に追いながら読んでいくのは、すごくおもしろいだろうな、と思う。3月の読書会では別の方が担当したのだけど、機会があればぼくも一度やってみたい。