介護体験2



 介護体験、終わりました。
 五日間という短い期間だったのですが、とても勉強になりました。最初はとてもショックを受けたし、「ああ、こういう場所なんだ……」という何とも言えない気持ちになったんですけど、職員の方たちがどんな方にも明るく自然に接しながら介護しているんですよね。そのことにとても感動したんですけど、彼らの姿勢に学びつつ、入居者の方たちと同じ時間を共有しているうちに、しだいにあるがまま受け入れる気持ちになれていくんですよね。もちろん、職員の方たちに比べれば、まだまだ底の浅い気持ちにすぎないのですが……。


 折り紙を折ってあげたり、将棋をしたり、キャッチボールをしたり、紙風船で遊んだり。言葉でコミュニケーションをとれない方とでも、そういうことを通して、笑ってくれたり、喜んでくれたり、微笑みあったりはできるし、そういう風に心が通じあった瞬間は、ぼくもとても嬉しい気持ちになれるんですよね。
 沈黙が訪れたときもあまり焦らず、ゆっくり構えつつ、次は何を話そうか/何をしようか考えているといった感じで楽しむ気持ちでいたので、苦痛はまったく感じなかったですよ。


 最終日、それまでまったくコミュニケーションがとれなかった方の側に行って話しかけていたら、手を握られたんです。それで30分くらいずっと手を握ってたんですけど、しばらくそうしていたら、大きく口を開けて笑ってくれたんですよね。何度かすごくいい顔で笑いかけてくれた。それはとても嬉しかったんですけど、それはほんの一瞬の交流で、すぐに流れて行ってしまうもので、いま思い出すとちょっと切ないんですよね……。
 お別れの挨拶をしたとき、「終わってほっとしたでしょう?」と職員の方たちにからかわれたんですけど、ぼくは「ほんとに寂しいですよ」と答えて、それはほんとうにそうだったりします。さすがに期間も短かったし泣くことはなかったんですけど、何人かの方と打ち解けはじめていたところでお別れになってしまったので、けっこう寂しい。もっと早く打ち解けられればよかったのに……という後悔もしますしね。


 ベッドメイクや掃除など慣れない肉体労働で体力的にはかなり疲れたんですけど、終わってみれば、入居者の方たちとすごすゆっくりと流れる時間は、とても贅沢な時間だったのかな、と思います。
 もちろんたいへんな五日間だったんですけど、いい体験をさせてもらえたな、と思っています。介護体験に行けて、ぼくはとてもよかったですよ。





 コミュニケーションの時間、ずっと折り紙を折っていたので、鶴や風船は解説書を見ないで折れるようになりました。介護体験の副産物ですね。
 施設で折ったものはほとんど置いてきたんですけど(「きれいだね」「かわいいね」と受けとってくれました)、大学に戻ってから折ったものの画像をアップしておきますw