介護体験



 介護体験、二日目が終わったところです。内容は、9時から17時まで、福祉施設で掃除や食事の準備など簡単な仕事や、あとは入居者の方とのコミュニケーションといったところなのですが、やはりこういう場所に身を置いているというただそれだけでも、いろいろ感じさせられるし、考えさせられます。
 やはり最初はとてもショックを受けるし、戸惑うし、さまざまな感情が掻き立てられて、混乱して、精神的にものすごく疲労します。福祉というのはやはり生半可な覚悟ではできないものなのだな、と否応なく実感させられます。悲しいし、つらいし、やりきれない思いになるんですよね……そういう風に感じるのは入居者の方たちに失礼だとわかってるんですけど、そういう思いが湧き出てくるのは止められないんですよね。


 なので、職員の方たちの入居者の方たちに寄り添う姿や明るさにはとても学ばされるし、すごいな、と思うんですよ。技術的なことだけではなく、心のもちようという点においてもとてもかなわないと思うし、自分はとても続かないだろうな、と思います。
 けれど、二日目を迎えて少しずつ慣れてきたかな、とも思います。初日はとても気負っていて、できるだけ話をしなければならないのではないか、とさかんに質問をしたりして、でも、思ったように続かなくて、なんとなくお互いに気まずい思いを感じている、みたいな感じだったんですけど、あまりそんな風に気負う必要はないのかな、と。


 できるだけ自然体な感じで側にいて、ちょっとしたことで笑ったり、目があったら微笑みを交わす、といった感じがいいのかな、と。職員の方にもそんな感じでいいと言われたし、ぼく自身の実感としても、それでいいんだろうな、それがいいんだろうな、と思えるようになってきてるんですよね。
 コミュニケーションの道具は言葉だけではないし、必ずしもお互いのことを詳しく知り合う必要もなくて、「嬉しい」「楽しい」という感情を共有できれば、それできっといいんですよね。


 昨日そのことに気づいたので、今日は折り紙を買っていってですね。コミュニケーションの時間は、一緒になった実習生の方とふたりでずっと折り紙を折っていて、鶴とか船とか風船とか箱とか蛙とかを折ってたんですけど、喜んでくれる入居者の方も何人かいらっしゃって、よかったというか、とても嬉しかったですよ。
 残り三日なんですけど、自分自身が楽しむつもりでいればそれでなんとかなるのかな、と思いはじめています。……いや、それがむずかしいんですけどね。女性の職員の方たちはほんとうによく笑っていて、それで場を明るくしているのですごいなあと思うんですけど、男はなかなかそういう風になれないんですよね……。折り紙ばっかり折ってるわけにもいかないだろうし。


 ともあれ、残り三日間、がんばってきます。
 では。