発表会&学会を聴講



 先週は水曜日から土曜日にかけて、ぼくが所属する大学院の研究科で題目発表会と学会があったので、自分と直接関係のない発表も、かなり聴講してきた。
 学会や発表会に参加するのはとても好きで、ごく短い、限られた時間の中でどんな内容で発表すればいいのか、プレゼンや発表態度(声のトーンやスピード、視線)はどんな風にしているのか、自分がさっぱりうまくならないということもあって、興味津々で聴講している。本当に人それぞれ、個性が出ていて、見ていて面白いんですよね。


 で、改めて気づいたのは、発表と研究は別物だな、ということ。発表は発表、研究は研究でまた別のものであって、やってきたことをそのままナイーブに順番通り話せばいいというわけではなくて、どんなプレゼンをすれば、聴衆が楽しく話を聞けるのか工夫しなければならない。
 それで、やはり、まずは、パワーポイントを使った発表、とりわけ映像や図式化したものを映像にまとめておいて発表すると、発表としては楽しいものになるのかな、ということは感じた。以前、短大の卒研発表会に行ったときもそれは感じたのだけど、いいですね、パワーポイント。今度、作ってみようかな。
 経験者曰く、パワーポイントを使うと、聴衆の視線は画面の方に向かうので、あまり緊張しないんだそう。それはいいなあ……。


 それから、発表態度については、発声(声のトーンや読むスピード、滑舌のよさ)でかなり印象が左右されるし、原稿を読みあげるために、ずっと下を向いているというのもいい印象ではない。今回見た発表の中でいちばんうまかった人は、ほとんど下を向かず、体を開いて顔を上げ、常に会場の誰かに視線を向けている、という壇上の様子が見られた。ぼくは視線が合わなかったので、実際に誰かを見ているのかどうかは分からないが、この方が会場に語りかけている、という感じはする。
 ただ、まあ、ウチの講座の先生曰く、「まず、発表者が何かを伝えたいと思っていること」が重要で、それがないと、当然発表者も熱意を持てないので、ないものは伝わるわけもないし、発表での態度も自信のないものになる、ということ。まあ、これは大前提なんですけど、意外と発表者の中で準備ができてない場合があるんですよね。


 題目発表会では、発表後、何人か普段交流のない学生に声を掛けました。「発表面白かったので、あとで詳しく話を聞きたいんですけど」という感じで話しかけて、あと、「いま研究職のポストが少なくなってるので、博士課程に入るのってものすごく勇気が要りますよね? それでどんな風に考えているのか話を聞いてみたいと思って」なんていう率直な質問をぶつけてみたり。
 こんな風に、懇親会でもないのに、他の講座の人間に積極的に話しかける学生なんて、ここではぼくくらいだと思うんですけど、話しかけられれば、みんな普通に受け答えしてくれるんですよね。大学院生は孤立しがちで、情報にも疎くなるところがあるので、それだと研究も人生も行き詰まる可能性が高いので、なるべく横の繋がりは作っておいた方がいいと思うんですけどね。
 今回、ぼくが話しかけた方は高校の非常勤講師をやっているそうで、「教員免許は金になる」という名言を口にしてくれたんですけど、ぼくとしては、この言葉が聞けただけで、この方と話ができてよかったな、と思いましたね。もちろん、彼とはまた話をするつもりですけど、こんな風に他人と話をしていると、思いがけず何か学べるものがあったりするんですよね。
 あと、東欧系の留学生の方にも話しかけましたし、それから研究対象が重なる女の子がいて、その子とはかなり研究の話をしてきたので、これは今後ちょっと楽しくなるといいなあ、と。


 ……といった話を、よく話をする研究室の後輩に話をしていたら、「○○さん、コミュニケーション能力あるじゃないですか」と言われました。
 まあ、ぼくはもう年齢的にも、もうプライドになんてかまってられないから、なんでもいいからいま開き直るしかないという、それだけのことなんですけどね。普通の人はぼくのように未知の他人に話しかけたりはしないわけだから、これはこれで異常な躁状態なんだろうという自覚はあるんですよ。まあ、しばらくしたら落ちつくんじゃないかという気もするんですけど、他人にどんどん話しかけていくのは継続した方がいいことなのかどうかについては、まだよく見えてこない部分ですね。
 でも、まあ、あまり浮かれないように気を付けなければならないなあ、とは思っていますよ。道を歩くときにも鼻歌を歌ってたり、ルンルンですからね。かわいい女の子がやってるならともかく、客観的には気味が悪いだろうと思います。(でも、挫折から暗くなっていただけで、基本は13才あたりからずっとこうなんだよなあ……)


 Sheryl Crow「All I Wanna Do」(1993)