携帯メールショートショート Vol.8/「眠る男」



 携帯メールショートショートの八回目です。



眠る男




 アフリカのある洞窟から一人の眠る男が発見された。男は恐ろしく長い時間生きているようだったが、正確なことは何一つ不明だった。男の体はNASAの研究所に移された。
 数年後、驚くべき発表がなされた。この世界は彼の見る夢だというのだ。しかもこのままならもう百年程度で男は目覚めるという。
 どうすれば男を眠らせておけるのか人々は様々に試みた。しかし全ては無駄なまま、百年の時が経過した。
 人々が固唾を飲んで見守る中、男は目を覚ました。その瞬間世界は消滅した。
 あなたは顔を洗うためにベッドを降り、洗面台に向かった。





 これはありがちな話かもしれないですね。
 夢オチなんですけど、「あなたも毎朝世界を終わらせてるかもしれないですね?」と読者に匕首を突きつける結びで、つまり、夢の創造主という点で、人はみんな神様なんですね。
 そして、この世界もまた神様が見ている夢なのかもしれない。入れ子構造ですね。そういう、「世界の構造の不思議」みたいな感じが出せてればいいな、と思います。