携帯メールショートショート Vol.4/「恋侍」



 携帯メールショートショートの四回目です。



恋侍




「ジャカジャカジャカジャカジャーン」
 と亜衣。
「きゃあ、面白ーい!」
 と友だち。
 亜衣はいわゆる「面白い子」だった。小学校の頃からそう言われ続けてきたし、高二の現在に至るもそうだった。女の子の間では人気者で男友達も多かったが、事が恋愛となるとてんでダメだった。
 亜衣とて年頃の娘である。容姿だって実は意外と悪くないんじゃないかと自分では思っている。ちょっといい雰囲気かなーと思うこともないわけではないのだが、そんなとき天性の芸人魂が災いして、思わずネタに走ってしまうのだ。
 昨日も折角全校の女子生徒の憧れ、ミュージカルが好きで歌とダンスがとても上手な生徒会長と二人きりになれたのに、
「こんな展開は、イヤだ。
1、君の友達が好きだと言われた。
2、告白は告白でもカミングアウトだった。
3、キスをされると思ってドキドキしていたら魚の鱚釣りだった」
 鞄の中からクリップボードに見立てたクロッキー帖まで取り出して、亜衣は持ちネタを演じ切ったのだった。穴があったら入りたい。亜衣はめちゃめちゃ恥ずかしかった。
 勿論、生徒会長はクスクス笑いながら言ったものだ。
「亜衣ちゃんって面白い子だね」
 ゼツボーだった。亜衣は今度ばかりは骨身に堪え、生涯何度目かの深い自己嫌悪に駆られた。
「牛君なぜどよーんとしているの?」
「それはね蛙君、いまとってもお腹が空いているからだよ、パクッ」
 次の日、亜衣が休日の午後を空しく送っていると、生徒会長から電話が掛かってきた。愛の告白をされ、交際を申し込まれた。
「君となら明るい家庭を築けると思うんだ」
 そして、嬉しくなったのだろうか、生徒会長はやけに朗々とした声で軽快な英語の歌を歌い始めた。こいつもズレとる……。亜衣は一瞬引いたが、歌声を聴いているうちにだんだん嬉しくなってきた。残念! 所詮似た者同士ですから!
「私も先輩のことが大好きです……斬り!」





 三年前に書いたことがよくわかる話ですね。古い、古すぎる……。メモ帳に、あるある探検隊とか、間違いないとか、悲しい時とか、なんでだろうとか書いてあるんですけど、なんというか、もはや旧石器時代ですね。
 モデルは、元モ娘。の彼女ですね。実は男の子の方にもモデルがいて、「トップランナー」に出演していたミュージカル俳優の井上芳雄という男の子なんですけど、彼は、中学時代、生徒会長だったのだけど、掃除の時間女子生徒が彼を見に来て掃除にならないから、お前は掃除しなくていいと先生に言われていたらしいんですね。で、歌を歌っていたので、歌が上手な男の子を好きになる女の子という図って、なんかかわいらしいな、と思ったんですね。
 ていうか、こんなかわいい話をアップしていいのだろうか? なんか「子どもか、お前は?」って思われないか? まあ、いまさらか。自由だーっ!