携帯メールショートショート Vol.2/「春の夢」



 携帯メールショートショートの二回目です。



春の夢




 高三の春、嫌な夢を見た。彼と二人で第一志望の大学の合格発表を見に行くのだけど、彼は合格で、私は不合格。
「絶対待ってるから」
 彼はそう言っていたけれど、夏には眼鏡がよく似合う美人の先輩と付き合いはじめて、私を振ったのだった……。
 そんなの絶対イヤッ!
 その日から私は彼のデートの誘いも断り、必死で勉強した。そのおかげで、夏には彼に振られた。
 けれども、受験の結果は夢とは逆転した。私は合格で、彼は不合格。
 一年後。一浪して入学した彼はいま、私を眩しそうに見ている。
 勉強のしすぎで近視になり、眼鏡をかけている私を……。



 彼氏は眼鏡っ娘萌えだった、という。
 夢で見た彼氏がつきあい始めた「眼鏡がよく似合う美人の先輩」は自分のことだった、という点がポイント。
 女の子が大学で一年過ごすと、化粧がうまくなってオシャレになって、すっかり垢抜けるじゃないですか。一浪して大学に入学した彼氏は、同級生でかわいい系だった元カノが、すっかりお姉さんっぽい美人になっていることに、どぎまぎしているんですね……という話です。