携帯メールショートショート Vol.1/「おかしな彼」



 パソコンの整理をしていたら、3年前くらいにケータイで書いた小説が出てきたので、このblogでもアップしてみようかな、と思います。
 ポイントは、250字から400字程度で一つの話を語ってしまうところ。すぐに読めるし、短い中に起承転結があり、ちょっとした仕掛けや工夫があるので、きっと面白いんじゃないかな、と思いますよ。
 そして、ケータイのメール一本で収まる短さで書いた超短編小説という意味で、ここでは「携帯メールショートショート」という造語を作りつつ、そう名づけておこうと思います。Webで調べてみたら、いまのところヒットしない言葉のようだったので。



おかしな彼




 わたしの彼、最近変なんです。
 週末デートに誘ってくれないし、一緒にいても妙に無口で、わたしのこと嫌いみたい。
 これってやっぱりほかに好きな子できたのかな?ていうか、もう付き合ってたりして? やだっ! 二股っ!?
 でも、まだあるんだ。
 彼ったら首が変な風にねじれてるし、咳をするとゴボッゴボッて音がして、茶色い液体が口から溢れて……。
 友だちは、「いや、ミナコ、それ絶対死んでるってっ!」ってヒドイこというけど、そんなわけないジャン! あんなに優しいタカヒロがゾンビだなんてそんなこと……。
 でも、手を握ったらボトッて……。



 これが一作目。ノリがいいなあ。
 「週末デート」云々は、それだけじゃなくて、もういっさい何もできなくなってるんだけど、語り手の「わたし」がそこだけ特に取り上げて言うという、語りのトリック。語りが進んでいくとすぐに、それどころじゃない状況になっていることが明らかになる。
 現実を直視したくない、恋する女の子の気持ちが描かれていて、かわいいですねw