ナラティヴ・メディア研究会第1回ワークショップ



 「ナラティヴ・メディア研究会第1回ワークショップ コミック研究のフレーム再考のために―研究方法の多様化と今後の展望―」(@東北大学大学院情報科学研究科、主催:ナラティヴ・メディア研究会当blogの紹介記事)に行って来ました。研究発表は東北大学の大学院生を中心に四本、講演は伊藤剛宮本大人という、とんでもなく充実した内容。今年は、荒木飛呂彦も東北大学学園祭で講演に来たし、今年の仙台はすごいですね。


 ぼくは専門分野は近代文学なんですけど、九十年代以降のマンガ研究はそれまでほとんど手つかずだったものが一気に進化・深化を遂げていく観があって、専門外の人間にとっても、触れれば必ず刺激を受ける魅力的な研究分野になっていて。なので、ぼくも夏目房之介大塚英志のマンガ評論&研究はずっと読んできたし、最近の宮本大人氏や伊藤剛氏の仕事もフォローしていたんですよね。
 そんなわけで、発表や講演はかなりハイレベルだったんですけど、完全に理解できたとは思わないけれど、一応最後まで付いていけました。で、学会の後、懇親会にも行って来たんですけど、伊藤剛氏には持参した『テヅカ・イズ・デッド』にサインをもらってしまいました。……いや、なんというか、ミーハーですみません。宮本氏には挨拶しにいくきっかけが掴めなかったのですが、学会&懇親会には藤本由香里氏も来ていて、藤本氏にも挨拶しにいくきっかけが掴めなかった。まあ専門外ですからね。本があればサインをもらいに行く形で、挨拶しに行けたんですけどね。実家に帰ればあるのに……。残念。


 情報科学研究科の方たちとはすでに何人かの方と面識があったんですけど、発表者の方たちとは、初めて話をすることができました。来期は研究会やゼミに潜り込みたいな、と思っていますので、仲間に入れてやってくださいませ。
 ちなみに、この学会については、あとで詳細なレポートを書くつもりです。専門外の人間なので、正確さや深さには欠けてしまうところが出てくると思うのですが、かなりマメにメモも取ってきましたし、ぼくなりにまとめ記事をアップしたいと思っています。


 以下、とりあえず今回の学会や懇親会で話題になった本を、いくつか挙げておきます。


ブラックジャックによろしく(1) (モーニング KC)

ブラックジャックによろしく(1) (モーニング KC)

 視線誘導が線状性をもっていて、読者が意味を理解しやすい「可読性」をもつ作品。一般に、少年マンガは「可読性」が強く、少女マンガは複雑で多層的な表現が行われている。(伊藤氏)


鋼の錬金術師(1) (ガンガンコミックス)

鋼の錬金術師(1) (ガンガンコミックス)



恋風 1 (イブニングKC)

恋風 1 (イブニングKC)

 登場人物のまなざしの先の空間を次のコマで描くことによって、マンガの中の空間が現実の世界と変わらないリアルな世界であること(=世界の現前性)を、暗黙の裡に読者に伝えている。(伊藤氏)


ハヤテのごとく! 1 (少年サンデーコミックス)

ハヤテのごとく! 1 (少年サンデーコミックス)

 『ハヤテのごとく』は、意外にも同一化視点がまったくない作品である。(伊藤氏)


サバの秋の夜長 (白泉社文庫)

サバの秋の夜長 (白泉社文庫)

 大島弓子「なずなよなずな」に見られる、ページを覆い尽くす過剰な量の言葉は、もはやそれ自体でなにか別の意味をもちはじめる。(宮本氏)


ヘルタースケルター (Feelコミックス)

ヘルタースケルター (Feelコミックス)

 岡崎京子ヘルター・スケルター』の一面黒で覆い尽くされたページに、白い文字で、モノローグともとれるが、発話者が不明の、しかし主題にかかわる文章が浮かんでいるのは、宮本氏の分類でいえば、どこに当てはまるのか?(藤本氏)


鈴木先生 (1) (ACTION COMICS)

鈴木先生 (1) (ACTION COMICS)

 懇親会でもおおいに盛り上がった話題作『鈴木先生』。登場人物の誰もが無駄に熱い、ディスカッション教育マンガ。特に国語教師は必読のコト!